電子レンジやオーブンレンジの商品カタログを見てみると、「重量センサーでグラム合わせ不要!」「赤外線センサーによる精密解凍!」というような売り文句が散見されます。
でも、そもそもセンサーの影響なんて分かんないし…という方に向けて、今回は電子レンジ・オーブンレンジにおけるセンサーの特徴や種類などについて具体的にご紹介します。
センサーの種類
電子レンジ・オーブンレンジに搭載されているセンサーの種類は、おおまかに分類すると以下の3つに分けることができます。
- 重量センサー
- 湿度センサー(蒸気センサー)
- 赤外線センサー
これらのセンサーの違いは主に、自動あたため時のパフォーマンスに大きく関わってきます。
具体的には後述しますが、現状では赤外線センサーが他センサーと比べて自動あたための精度が高く、加熱のムラが発生しにくい非常に安定したセンサーとなっています。
またこれらとは別に「温度センサー」という、オーブンレンジでトースト機能を使うときに利用されるセンサーもありますが、通常の加熱にはあまり関わってこないので今回は除外ということで。
製品の値段とテーブルタイプで使われているセンサーを把握する
センサーごとの具体的な違いを語る前に、ひとまずこちらからお伝えしておきます。
さきほど赤外線センサーが優秀なセンサーだということをお伝えしましたが、赤外線センサーが搭載されている製品は電子レンジではなくほぼオーブンレンジ。値段もけっこう高いです。
逆に重量センサーが取り付けられた製品は総じて値段の安いものが多く、蒸気センサーはそれら2つの中間に位置するくらいの価格設定となっています。
このことからある程度は察せられるものがありますが、どの電子レンジ・オーブンレンジにどのセンサーが搭載されているかというのは、実は製品の値段からおおよそを把握することができます。
製品の値段が25,000円より上 → 赤外線センサー
製品の値段が25,000円より下 → ターンテーブル式 → 重量センサー
製品の値段が25,000円より下 → フラットテーブル式 → 湿度センサー
多くの場合はこんな感じです。
そもそもテーブルタイプってなんだよ、という方はこちらのリンク記事をご覧ください。
ごく一部、フラットテーブル式でかつ重量センサーが搭載されているという製品もあるにはありますが、それらはかなり稀有な製品で、大抵は海外製の製品だったりします。
自動あたための精度を重要視している、センサーの違いで製品を判断したいという場合は、値段とテーブルタイプによるセンサーの関係をある程度頭に入れておくとスムーズに選べるようになります。
それではセンサーごとの違いや特徴の紹介へ。
センサーごとの特徴・違いについて
重量センサー
ターンテーブル式の電子レンジ・オーブンレンジに搭載されがちなセンサーです。
フラットテーブル式の製品で重量センサーを採用しているものはごく僅かですし、ターンテーブル式でありながらも重量センサーでない製品はほぼ無いといって差し支えありません。
ターンテーブル式の電子レンジ・オーブンレンジはどれも値段が安いという特徴があるので、つまり「重量センサーを搭載した製品 = 値段が安い」という方式がなりたちます。
重量センサーを搭載した電子レンジ・オーブンレンジはどれも安価というのが大きな特徴です。
いろんな製品を見ても湿度センサーないし赤外線センサーを採用している電子レンジ・オーブンレンジよりも、重量センサーを採用した製品の方が圧倒的に値段が安いです。
安価というと安かろう悪かろうというイメージがつきがちですが、重量センサーならではの特徴を理解しておくことで、他の製品とも引けをとらないパフォーマンスを発揮してくれるものもあります。
重量センサーの仕組みと気をつけること
自動あたためにおける重量センサーの仕組みは非常に簡単で、室内ないしターンテーブルに置いた物の重量で加熱時間を判断しています。
例えば小さいおにぎり1つだったら数十秒、数百グラムの弁当だったら数分と数十秒、というような感じですね。とても単純な仕組みです。
だからこそ食品を入れている器やお皿がムダに重いと余計に加熱時間が増加したり、一口サイズの冷凍食品など、軽いけど加熱に時間をかけないといけない食品でもわずか数十秒で自動あたためが終わってしまったりと、うまくいかないケースもあります。
なんにせよ、重量センサーが搭載された製品の自動あたための加熱時間は食品(お皿を含めた)の重さに比例しています。
そのため自動あたためを利用する場合は「加熱したい食品の重量でおおまかな加熱時間を予測する」という慣れと経験が意外と重要だったりします。
重量センサーが使用されている電子レンジ・オーブンレンジ
▼ 【価格:約14,000円】シャープ オーブンレンジ 15L
▼ 【価格:約18,000円】パナソニック オーブンレンジ 15L
湿度センサー(蒸気センサー)
フラットテーブル式かつ値段が20,000円を超えない電子レンジ・オーブンレンジであれば、そのほとんどは湿度センサーが使われています。
赤外線センサーのついた製品と比べると安い値段の製品が多くあるのが特徴ですが、重量センサーを使った製品よりかは値段が高い傾向にあります。
前述のとおり、湿度センサーが搭載された製品は大抵フラットテーブル式。電子レンジ・オーブンレンジに限らず、フラットテーブル式という時点で使いやすさとしては上々です。
これから紹介する湿度センサーの特徴と使いかたさえ把握しておけば、失敗のしづらい利用ができるはずです。
湿度センサー(蒸気センサー)の仕組みと気をつけること
湿度センサーは食品を加熱したときに発生する蒸気を検知して加熱時間を判断しています。
重量センサーとは違って食品の重さで判断しているわけではないので、食品の重い軽いを気にする必要が無いという点が挙げられます。
湿度センサー特有の弱点は、蒸気を検知するという仕組みそのものに起因します。
例えば水分をあまり含んでいない食品を加熱する場合、あるいは食品にラップをしているなど、蒸気が外に出にくいようにしている場合は必要以上に加熱時間が伸びてしまう可能性があります。
特にピッチリとラップを張っていたり、菓子パンの袋を開けずに自動あたためをしてしまうと、ラップや袋が破裂するまで加熱してしまうことに。ここらへんが注意したいポイントです。
湿度センサー(蒸気センサー)が使用されている電子レンジ・オーブンレンジ
▼ 【価格:約14,000円】アイリスオーヤマ オーブンレンジ 18L
▼ 【価格:約23,000円】パナソニック エレック オーブンレンジ 23L
赤外線センサー
それぞれのセンサーと比較して、かなり安定した性能を持つのが赤外線センサー。
食品の温度そのものを検知することができるので、食品の重量や蒸気の量といった曖昧な要素ではなく、自動あたためでも丁度いい温度まで加熱してくれる点が特徴です。
手動で設定してあたためをする際にも、ワット数や時間指定だけでなく、「食品が○○℃になるまで」というキッチリとした設定ができるのもいいところ。
高度なセンサーであるため、赤外線センサーが搭載されているオーブンレンジも高品質なものばかりです。そのため赤外線センサー付きのオーブンレンジはほとんどが高価なものばかりという一面も。
赤外線センサーの特徴は、「自動あたために関わらず加熱の精度が高い」この一言に集約されます。
赤外線センサーの仕組みと気をつけること
ひとまずは赤外線センサーの具体的な仕組みから。
大抵の食品は加熱すると熱や蒸気以外にも赤外線を放出します。加熱すればするほど放出される赤外線の量も多くなるので、赤外線センサーはその赤外線の量をもとに食品の温度や加熱時間を判断しているわけです。
ここで気をつける点は、「オーブンレンジに熱が残っている場合、赤外線センサーは食品の温度を正確に判断しづらい」というところ。
例えばオーブン機能を使ってレンジの室内がすごく熱くなっているとき。この状態で自動あたためをすると加熱によって食品が温まっている・いないに関わらず、すぐに加熱が終わってしまいます。
そのため自動あたためを使いたい場合はオーブン機能を使うよりも前に行うこと。
オーブン機能を使ってしまったときは室内が冷えるまで待つか、手動でワット数と時間を調整して加熱する必要があります。
赤外線センサーが使用されている電子レンジ・オーブンレンジ
▼ 【価格:約25,000円】シャープ ヘルシオ 加熱水蒸気オーブンレンジ 31L
▼ 【価格:約27,000円】パナソニック エレック オーブンレンジ 26L
まとめ
いかがでしたでしょうか。
具体的な仕組みはそこまで理解しなくても、「○○センサーはここに気をつけるべし!」というポイントだけ把握しておけば、どんなセンサーが付いた製品でもミスをせずに使いこなせると思います。
あとはセンサーごとの電子レンジ・オーブンレンジの質ですね。
基本的には「重量センサー < 湿度センサー < 赤外線センサー」このような順で製品の質と値段が上がってきます。選ぶときの基準になるはずです。
「この食品は軽いけど時間をかけて温めないと…」
このような場合は自動あたためではなく、手動で加熱時間とワット数を調整すると加熱のミスが減りますよ!飲み物系は特に注意してくださいね。